桜と二十四節気を楽しもう

こだいらネット

2013年04月10日 23:55

4月9日、小平市主催で行われた小金井桜・里桜鑑賞会に行ってきました。
10時に小金井公園の江戸東京たてもの園前に集合。案内してくださるのは、小金井公園で桜の根本保護や後継樹の育成、ガイドや写真展等による普及活動に取り組む公園ボランティア「小金井公園 桜守の会」のみなさんです。

「ソメイヨシノや山桜はもう散ってしまいましたが、今日は何種類もの里桜(園芸種)が見ごろです。いい桜が見られますよ」という桜守の会の伊藤さんの言葉にワクワクしながら、いざ、「桜の園」へ!


   
楊貴妃(左)  普賢象(中央)  珍しい黄色の桜、鬱金(うこん)(右)

   
薄墨(左)  江戸(中央)  嵐山(右)

  
駿河台匂は咲き始め。開いた花からは桜餅のようなよい香りがします


桜の園で里桜をたっぷり鑑賞してから、次は「小金井桜」を見に玉川上水へ向かいます。
「えっ?桜の園は小金井桜じゃないの?」と思った人、そうです!
「小金井公園の桜を小金井桜と思っている人が多いけど、違いますよ。江戸時代に玉川上水堤に植えられた桜が小金井桜です」と伊藤さん。
小金井公園は昭和29年の開園ですからね~。


 歌川広重の版画「小金井橋夕照」に描かれたのはこのあたり

 昔の絵と見比べて  山桜の並木道を歩いてたてもの園広場へ 

陣屋橋からたてもの園広場に行く道には、玉川上水堤と同じ山桜の並木があります。
桜吹雪ももうすぐ終わるこの道を歩いて、お昼に鑑賞会は終了。
「桜はまだまだ5月まで楽しめますから、今度は地図を見ながらゆっくり楽しんでくださいね」とアドバイスをいただいて解散しました。桜守の会ではすばらしい「桜の園マップ」や「小金井公園さくらガイドマップ」を作っていて、これがあればどんな桜がどこにあるかがよくわかります。11種類の自生種(野生種)と、それらを様々に組み合わせて生まれた多様な園芸種(栽培種)。桜の魅力は尽きません。桜への愛が溢れるガイドをしてくださった桜守の会の皆様、小平市の企画担当者様、ありがとうございました!

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ところで、「小金井公園や小金井桜は小金井市でしょ?」と思っていらっしゃる皆様、実は小金井公園の一部は小平市ですし、小金井桜も小平市にたくさんあるんですよ。
小金井公園は多くの小平市民にとって身近なマイガーデン。玉川上水などのグリーンロードは緑豊かないつもの散歩道です。
緑に恵まれた小平は、自然を愛する人の多いまちなのです。

そんな小平人の一人、小金井公園の近くに住む水墨画家の岡田潤さんは、毎週のように公園やご近所に草花の観察やスケッチに行くそうです。
「月2回の水墨画教室のお手本を描くための取材でもあるのですが、花の好きなお友達と一緒に自然の中での会話やランチが何より楽しみ。忙しい日々が癒されて、創作意欲が湧いてきます。」



岡田潤さん(江戸東京たてもの園で)

水墨画教室を始めて11年目。年間24のお手本を描くうちに、いつの間にか草花を24の季節に振り分けることが容易にできるようになっていたそうです。

「同じ花を何年も見続けていると、だんだんその花のリズムがわかってきます。以前は花が咲いた時に注目していましたが、今は小さなつぼみの時期から花が枯れるまで日々ウォッチングするのがおもしろいですね。草花は見るたびに発見があります。」

24の季節といえば・・・そう、二十四節気です!
岡田さんは『二十四節気を描く 歳時記カット集』(日貿出版社 A5判 159頁 オールカラー)を最近出版しました。

 

「二十四節気(にじゅうしせっき)」とそれをさらに細かく分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」は、人々が自然と密接につき合っていたころに生まれた、季節の自然現象や生き物の様子を表した言葉です。最近注目されるようになり、本もたくさん出版されていますが、岡田さんはこれまでの水墨画のための自然観察を土台に、日本の季節の変化を豊かな色彩の絵で楽しめる本を作りました。

「七十二候に出てくるものを、ひと目でわかるように絵にしました。いろいろな二十四節気の本を見て絵で表現しようとすると、わからないことがあれこれ出てきます。自分でしっかり理解しないと絵に描けないので、ひとつひとつ調べました。

たとえば、6月10日ごろの「腐草為螢(ふそうほたるとなる)」は、腐った草の下からホタルが生まれるころという意味ですが、どうして腐った草の下からホタルが生まれるのでしょう? 調べてみると、川から陸に上がった幼虫が土に潜ってサナギになり、6月になると羽化した成虫が土から這い出してくることがわかりました。昔の人はそれを「腐った草から生まれた」と考えたようですね。」

歳時記カット集ですが、こんな「ナルホド!」が詰まった読み物としても楽しめるし、子どもにもわかりやすい絵で表現されているので親子で一緒に読むのもいいですね。

もちろん、絵手紙などを描く人がお手本にできるよう、描きやすいやさしい絵で表現されています。眺めていると絵手紙を描いてみたくなってきます。母の日のプレゼントにして、絵手紙交換を始めてみては?

「日本の色彩豊かな四季を感じ、暮らしに生かせるような本を作りたかった」という岡田さん。
日本らしい味わいのある色彩を眺めていると、「日本っていいな~」としみじみ感じます。

ところで、今の季節は何かご存じですか?
二十四節気では「清明(せいめい)」(晴れわたった空。清らかな明るい空気が天地に満ち溢れ、万物がいきいきと息づいてくる。)
七十二候では「鴻雁北(こうがんきたす)」(秋に渡来したガンが北へ渡っていくころ。)
ですよ!



岡田潤さんのサイト→ 潤墨画


足達千恵子


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